記者コラム「多事奏論」 編集委員・後藤洋平
19日の昼過ぎ、大阪市内のホテルのカフェ。私の顔を見るなり、上沼恵美子さんは言った。
「インタビューは、この場所じゃなくて、お昼ごはんを一緒に食べながらにしましょう」。
同席していたレコード会社社員やメイク担当のスタッフが驚くのも気にせず、1階から最上階のレストランに移動し、取材が続いた。
その前日、5年半ぶりの新曲「人生泣き笑い/大阪ラブレター」を発売した上沼さん。この日は、新曲のプロモーションのインタビューのはずだった。
しかし、4月に70歳になった関西きっての人気タレントの話は、そこにとどまることはなかった。
「この年齢になっても芸能活動を続けているだなんて、思ってもみなかった」と率直に吐露し、昨今テレビ業界や芸能界で続く不祥事の数々を嘆いた。
お笑いタレントとしてデビューした当時は「今では想像もできないほど社会的地位が低かった」といい、男性中心の価値観で回っていた世界で結果を出し続けてきた来し方を振り返った。
「もう十分、頑張ってきたし、もう疲れたから、いつ辞めてもいいんよね……」とも言った。
知り合って四半世紀、記者に吐露した「後悔」とは
こんな風に書くと、しんみり…