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公正取引委員会=東京都千代田区、田中恭太撮影

 公正取引委員会は12日、2024年度に下請法違反で勧告した件数が21件だったと発表した。事業者名を公表する運用を始めた04年以降で最多。21件のうち9件は、製品や部品の製造に使われる金型といった器具を下請け業者に無償で保管させた違反などによる勧告だった。

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 公取委によると、勧告の件数は20年度4件▽21年度4件▽22年度6件▽23年度13件。20~21年度はコロナ禍を背景に調査が難航したことなどが影響したとみられるという。24年度の勧告件数の増加について、公取委は「違反行為と事業者名を公表して周知する意義も考え、勧告に向けた調査に注力した結果」などとしている。

 公取委は下請け事業者が受ける不利益が重大な違反をした事業者に対して「勧告」を出し、軽微な事案や早期の改善を優先して調査を終える場合、事業者名は公表せずに改善を求める「指導」をしている。指導の件数は20年度8107件▽21年度7922件▽22年度8665件▽23年度8268件で、24年度は8230件だった。

 公取委による勧告や指導を受けて下請け業者に支払われた返金額などは、20年度約5億3992万円▽21年度5億5995万円▽22年度11億3465万円▽23年度37億2789万円▽24年度13億5279万円。23年度には、日産が自動車部品を製造する計36の下請け業者に対して総額約30億円の減額を求めていたとして、公取委が下請法違反で勧告を出した。

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