1994年、エジプト・カイロであった国連の国際人口開発会議で、概念が提唱された「性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、SRHR)」。今年2月に母体保護法の違憲性を訴える訴訟を提起した亀石倫子弁護士は、日本のSRHRをめぐる状況について「刑事司法と並び、世界の中でもっとも遅れている」と指摘する。
子どもを産むか、産まないか。いつ何人産むのか――。女性の体のことは女性自身が決めるべきです。
しかし日本では、戦前から現在に至るまで、女性の生殖機能は国の人口政策によって振り回され、家父長的な価値観によって管理されてきました。
現在の母体保護法は不妊手術を原則禁止し、妊娠が女性の生命に危険を及ぼしたり、すでに複数の子がいたりする場合にのみ、配偶者の同意を得れば例外的に認める、としています。
これらの条項は、憲法が保障する自己決定権を侵害している――。今年2月、日本でも適法に不妊手術ができるよう望む原告5人の代理人として、東京地裁に訴訟を提起しました。
刑法に堕胎罪があること、中…