Smiley face
写真・図版
多様化学校が設置される予定の「ハートフルスペースあすなろ」=2025年7月23日、那須塩原市南郷屋5丁目、海東英雄撮影

 不登校の中学生らの学ぶ環境を整えるため、栃木県那須塩原市は来年度に「学びの多様化学校」(不登校特例校)を開設する。授業時間を減らしてゆとりをもたせたり、特色のある教科を新設したりできる。開設されれば県内では初めてとなる。

 同市はこれまで、不登校児らの社会的自立や学校復帰に向け、本人や保護者らの相談に応じる「児童生徒サポートセンター」や、適応指導教室「ハートフルスペース」、「宿泊体験館」を設けるなどしてきたが、さらに対策を強化する。

 「学びの多様化学校」は文部科学省の指定を受けることで、不登校の児童や生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成できる。今年4月時点で全国に58校ある。

 同市教育委員会によると、中学校の授業時間は学習指導要領で年間1015コマ(1コマ50分)と定められているが、多様化学校では減らせる。始業時間を遅らせて、生徒が通いやすくすることなどが可能だ。英語や数学、国語といった教科のほかに、例えば地域の探究をテーマにするなど独自の教科を設けることもできる。

 同市では、「学び直し」ができる学習時間を設けたり、「宿泊体験館」と連携して自然に触れる体験活動を採り入れたりすることも検討する。学びの場の選択肢を増やして社会的な自立を促したい考えだ。

 多様化学校は、適応指導教室の一つ「ハートフルスペースあすなろ」の建物を改装して、市立三島中の分教室として設置する。施設内にフリースペースを設けて生徒が安心できる居場所もつくる。

 利用できるのは、市内在住または市内の中学校に在籍し、登校できない生徒。登校できても保健室や相談室を利用している生徒も対象となる。定員は1~3年で各5~10人程度。秋に保護者向けの説明会を開く予定だ。

 月井祐二教育長は「多様なニーズに応えられるようにすることで不登校をもっと減らせると思う。教員もしっかりと配置し、高校受験にも対応できるようにしたい」と話している。

共有