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アザラシ型のセラピーロボット「パロ」

 人と交流できるコミュニケーションロボットを、高齢者ケアに生かす取り組み。先駆けともいえるアザラシ型ロボット「パロ」は、欧米など30カ国以上の病院や介護施設などで活用され、公的保険が適用される国もあります。一方、世界的な先駆けであるがゆえ、人ではなくロボットによるケアの是非について議論を呼んだことも。こうした議論についてどう考えるのか。今後どのような進化をめざすのか。生みの親で、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)上級主任研究員の柴田崇徳さんに聞きました。

 Q パロは世界30カ国以上で使われていて、ポーランドなどではウクライナから避難している人にも提供されているようですが、認知症や高齢者のケアという面ではどうでしょうか。

 A 欧米などではパロは医療機器で、たとえばフランスでは、今年改定された認知症のガイドラインで、パロには寂しさを和らげ、自信を持たせ、記憶を回復するなどさまざまな効果があるとして、利用が推奨されています。米国では公的保険の対象になっていて、認知症やがん、統合失調症など、痛みや不安、抑うつ、興奮(暴力、暴言など)、不眠といった症状が診断されると、パロを使ったセラピーを処方できます。

身体性AIを搭載

 エビデンス(科学的根拠)も…

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