世界文化遺産の百舌鳥・古市古墳群の上空で気球を運航する事業が、10月上旬以降に実現する見通しになった。堺市と事業者が1日、明らかにした。2023年春に試行が始まる予定だったが、ヘリウムガスが外に漏れたことから中断していた。
計画では、大仙公園(同市堺区)を発着場とし、ヘリウムガスの浮力で地上100メートルまで上昇させる。地上からケーブルで係留し、機械設備で昇降させる。
10月上旬に運航を始め、最初の1年間で古墳群への影響を検証。問題がなければ、さらに6年間運航を続ける予定だ。
料金は大人4千円程度を見込むが、詳細は今後詰める。堺市民と市外の国内在住者、海外在住者で金額を変える見通しだという。年間約6万人の乗客を見込んでいる。
運航会社は兵庫県豊岡市のアドバンス社。当初、英国製の気球を使って23年5月に運航を始める予定だったが、気球に充塡(じゅうてん)していたヘリウムガスが抜けていたことが直前にわかり、事業が中断していた。
原因は特定されず、英国の製造元もその後会社を清算したことから、今回はフランスのメーカーに切り替えて、準備を進めてきた。
計画の公表から約6年。報道陣の取材に応じた永藤英機市長は「安全、安心を徹底しながら運航の実現につなげたい。百舌鳥・古市古墳群の魅力をあらためて感じてもらうことにつながるはず」と話した。
墳丘長486メートルの大山古墳(伝仁徳天皇陵)をはじめ、百舌鳥・古市古墳群の主な古墳は規模が大きく、地上から全景を眺めることができない。
このため、世界文化遺産への登録が決まった19年に永藤市長が上空に気球を飛ばす事業に着手することを表明していた。