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徳之島虹の会のパトロール中に見つかったシロアゴガエル=2024年9月6日午後10時14分、鹿児島県・徳之島、外尾誠撮影
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 世界自然遺産の鹿児島県徳之島で、特定外来生物シロアゴガエルの侵入が確認されて2年がたった。すぐに駆除作業に取りかかり個体数は減少したものの、分布域は拡大している。環境省は「今が正念場」として、島民にさらなる協力を呼びかけている。

 シロアゴガエルは東南アジア原産で、褐色の細長い体と白いアゴが特徴。4~11月の長い繁殖期に数百の卵が入ったメレンゲ状の卵塊(泡巣)を何度も産みつけるため繁殖力が強く、1964年に沖縄島で侵入が確認された後、沖縄県の各島に定着。2013年には与論島で生息が確認され、19年には島内全域への分布拡大が判明。徳之島や奄美大島でも侵入への警戒や監視を強めていた。

 徳之島での初確認は23年5月。自然保護に取り組むNPO法人「徳之島虹の会」からの通報で、徳之島町の8地点で約20匹の個体と約20個の泡巣が見つかった。1年以上前に侵入したとみられる。島で最大の亀徳港に近く、物資にまぎれて侵入した可能性がある。

 定着すると、同じえさを食べる在来種のアマミハナサキガエルやアマミアオガエルなどに大きな影響が及ぶおそれがある。環境省が23年度に島内約700地点で調査すると、40地点で生息が確認され、分布の広がりが判明。国、県、地元3町が虹の会の協力も得て急ピッチで駆除を進めた。

 その結果、成体の捕獲数は5010匹(23年度)から2573匹(24年度)へ、泡巣の駆除数も3231個(23年度)から2673個(24年度)に減少。専門家から「抑え込みに近い状況」と評価された。ただ、24年度の調査では生息確認が83地点に増加。1カ所でも繁殖を許すとそこからまた拡大してしまう。環境省徳之島管理官事務所(天城町)の担当者は「対策の効果は出ているが気が抜けない状況。今年度で拡大を止められるかどうか、正念場だ」と話す。

「島の緊急事態」地元NPOが駆除に活躍

 2年間で約7500匹の成体と約6千個の泡巣を駆除した徳之島のシロアゴガエル対策。「島の生態系を守れるかどうかの瀬戸際」として、地元の環境NPO「徳之島虹の会」が侵入確認の直後から熱心に取り組んだ。

 シロアゴガエルはため池などの止水域に生息し、泡巣を水面近くの枝や葉に産みつける。メンバーは夜、ため池をパトロールし、オスがメスを呼ぶ「グエッ」「ギィッ」という特有の鳴き声を頼りに成体を捕獲。日中は、池の壁面にしかけた葉っぱのワナをチェックし、産みつけられた泡巣を回収した。

 この活動には、虹の会のボラ…

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