第70回全国高校軟式野球選手権大会(日本高校野球連盟主催、朝日新聞社、毎日新聞社など後援)は29日、兵庫県明石市の明石トーカロ球場で決勝があり、中京(東海・岐阜)が3―2であべの翔学(大阪)にサヨナラ勝ちし、史上初の4連覇を果たした。中京の優勝は、大会最多を更新する14度目。あべの翔学は67回大会の決勝で敗れた中京に雪辱を期したが、初優勝にあと一歩届かなかった。
中京のエース内野が粘投
◎…中京のエース内野がスライダーを巧みに使い、打たせて取る投球で完投した。打線は8四球を選び、中軸が計3本の適時打と勝負強さを発揮した。あべの翔学は左腕若林が力投。勝ち越した八回は、2死二、三塁でもう1本が出なかった。
中京、九回2死走者なしからの反撃
王者・中京は追い詰められた。1点を追う九回、2死走者なし。それでも、主将の稲垣和真は言う。「誰ひとり、あきらめていなかった」
1番垣内惺矢が左前打で出塁すると、2番北川絢士郎(けんしろう)は「つなげば何とかしてくれる」。16球目で四球を奪った。この執念に3番稲垣が中前適時打で応えた。同点だ。
四球を挟んで2死満塁。5番曽我凰晟(おうせい)の打球は遊撃手のグラブへ。ボールを握り替えようとして、送球が一瞬遅れた。「何が何でも」。一塁へ頭から飛び込み、内野安打をもぎ取る。劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。
高校軟式野球をリードする存在だが、昨秋は東海大会準決勝で、今春は県大会決勝で敗れた。稲垣は「夏の全国に出られるのかと、一度はバラバラになった。最後にやっと、一つになれた」。
奮起を呼んだのは、味方の失策が絡んだ失点にも動じず、9回を投げたエース内野歩の存在だった。内野は「何かしてくれるとみんなを信じていた」。
連覇はくしくも3年前、この日と同じあべの翔学からのサヨナラ勝ちで始まった。平中亮太監督が涙ながらに語る。「(4連覇は)最後まであきらめず、仲間を信じて戦った結果だと思います」。思いを通わせた先に、前人未到の景色が待っていた。
あべの翔学、あと一歩及ばず
あべの翔学は2022年の決勝に続き、中京に屈した。要泰樹監督は「中京さんの日本一への思いが上回ったのかな」とつぶやいた後、「互角に戦えた。3年前より差は縮まったと思う」と選手をたたえた。九回2死走者なしから逆転を許した左腕若林大翔は「2死を取ってから『この打者で、この打者で(終わろう)』と入れ込みすぎてしまったのかも」と悔やんだ。
- 軟式高校野球70回 「最長試合」を2人の投手が振り返る