中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、あと半年で発足10年を迎える。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を支える存在では――。そんな警戒も強かったが、ふたを開けてみれば、あからさまな「中国色」はこれまで出ていない。ただ、融資の規模や独自性の発揮には課題も残る。来年1月に控える初の総裁交代により、中国色が強まっていく可能性もある。
AIIBの金立群・初代総裁は26日、北京市で開かれた年次総会で「アジアと世界の明日のためのインフラへの資金供給という共通の使命とともに、長い道のりを歩んできた。最初の10年間で、多国間主義の要としての名声を築いてきた」と述べた。10回目の節目となる今回の総会では、2期10年にわたり務めた金氏の後任総裁として、中国財務省が擁立した元次官の鄒加怡・全国政治協商会議副秘書長が選出された。
加盟国は現在、日米以外の主要7カ国(G7)各国を含む計110カ国・地域まで拡大しており、日米が主導する国際開発銀行であるアジア開発銀行(ADB)の69を上回る。
AIIBは2013年秋に習近平(シーチンピン)国家主席が設立を表明。「一帯一路」構想と同時期に公表されたことで、その膨大な資金の流れを担う機関になるとの見方から、日米の警戒は強かった。
ただ、16年1月に開業した…