フィリピンと中国が有権を争う南シナ海の島礁で、フィリピンが劣勢に立たされている。戦略的要衝のサビナ礁で、中国船の侵入を牽制(けんせい)してきたフィリピンの大型巡視船が「兵糧攻め」に遭い、15日に撤退に追い込まれたためだ。別の巡視船がすでに配備されているが、中国側の攻勢に対応しきれるかは不透明だ。
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サビナ礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内のスプラトリー(南沙)諸島にある浅瀬の一つ。フィリピン軍が拠点を置いて実効支配するアユンギン礁から約60キロの近距離に位置する。
フィリピン沿岸警備隊は16日に会見を開き、状況を説明した。
タリエラ報道官によると、撤退させた巡視船は2022年に日本から円借款で調達した97メートル級の「BRPテレサ・マグバヌア」。4月から停泊し、フィリピンの権益を守る要となってきたが、8月以降、繰り返し補給を妨害され、中国船との衝突で破損もしていた。
乗組員は撤退の約3週間前からおかゆのみで生活し、2日前に食料も飲料水も尽きたという。15日には脱水症状などで4人が緊急搬送された。
この巡視船は修理や補給を終えた後、任務を再開するという。関係者によると、現在は44メートル級の巡視船が代わりに停泊している。
「この海域の主権は我々にある。これからも軍とともに守り抜く」と、タリエラ氏は語った。悪天候のタイミングで撤退したため、サビナ礁を包囲していた中国船舶も多くが同様に現場を離れており、危機的状況には至っていないとしている。
日本も装置提供で支援へ
今後は再度の長期停泊に備えるため、現地の日本大使館を通じて海水濾過(ろか)装置の提供を受ける見込みで、「日本の支援に感謝する」と述べた。
一方、中国海警局側は15日、巡視船について「4月以降不法に滞留し、中国の領土主権を厳重に侵犯してきた」と主張する報道官談話を発表。談話では、中国側が巡視船を監視し、「フィリピン側が補給を強行しようとする企ては全て失敗した」とした。
両国がサビナ礁を重視するの…