アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で基調講演に臨むフィリピンのマルコス大統領=2024年5月31日午後8時32分、シンガポール、浪間新太撮影
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 アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)初日の5月31日、基調講演に立ったフィリピンのマルコス大統領は「戦争」という言葉を用いて、南シナ海でフィリピン船に危険な行為を繰り返す中国を強く牽制(けんせい)した。対抗姿勢のレベルをさらに上げた形だ。

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 念頭にあるのは、今年3月にスプラトリー(南沙)諸島のアユンギン礁近海で起きた事件だ。中国海警局の船がフィリピンの補給船に放水砲を撃ち込み、軍人4人が負傷した。フィリピン政府によれば、南シナ海での補給任務で負傷者が出たのは初めてだった。

 マルコス氏は、出席者の質問に答える形でこの事件に触れ、「国民が(相手の)故意の行為によって死亡した場合、それは戦争に極めて近い。それ相応の対応を取る」と警告。相互防衛条約を結ぶ米国も同じ基準を持っているとの認識を示し、共同で反撃する可能性を示唆した。

 「もしそのような事態になれば、ルビコン川を渡ったことになる。間違いなくレッドラインだ」

 これまで積極的には触れなか…

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