ミシンや裁断の作業音が響く路地を、大量の布地を積んだ電動三輪車が走り過ぎる。通りに面した工場では従業員たちがミシンに向かい慣れた手つきで作業していた。
中国南部の大都市・広東省広州市の番禺区。高層ビルが立ち並ぶ街並みの間に、古びた建物に入る縫製工場や従業員の寮が密集した地区がある。通称「SHEIN(シーイン)村」と呼ばれる地域だ。
- 「相互関税」米国経済にインフレ圧力 世界経済にも打撃
シーインは、世界150カ国以上に進出する中国発のファッション通販企業。既存のファストファッションブランドよりもさらに価格を抑え、豊富な品ぞろえで米国や欧州、日本などの若い女性を中心に人気を集める。
同社は2008年に中国東部の江蘇省南京市で創業したが、15年に服飾関連工場が集積するこの地域の近くに本社を移転。それ以降、この地域はシーインの製品を受託製造することで発展してきた。一帯には同社専門の受託工場だけでも500以上あるという。シーインはその後本社をシンガポールに移したが、シーイン村は変わらず製品の一大供給拠点となってきた。
しかし今、トランプ米大統領の再来で「村」は揺れている。
「今月に入ってシーインから…