シンガポールで開かれた「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」(英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)で2日、中国の董軍国防相が初めて演説し、台湾統一に向けた中国の立場を一方的に主張した。台湾の民進党政権や米国を念頭に「台湾独立分子」「外国勢力」と繰り返し、会議に参加した国との埋めがたい溝が際立った。
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「中国の国防政策は、和をもって貴しとなすだ」。董氏は34分間の演説で、台湾や南シナ海などの問題で中国の立場を強調しつつ、「中国は拡張政策も覇権も唱えていない」と主張。習近平(シーチンピン)国家主席が唱える「人類運命共同体」を平和的に目指していると主張した。
ウクライナやパレスチナ情勢をめぐっても、和平を促す役割を果たしているとアピールした。
自信に満ちた表情だった董氏の口調が厳しくなったのは、質疑応答に移ったときだ。
まず、韓国からの出席者が「大臣が話したことと、中国が行っていることは全く逆だ。あなたの言葉をどう信じたらいいのか」と指摘。米国やドイツの出席者らは台湾やウクライナ情勢で中国の立場をただした。
すると、董氏は「時間が限ら…