中国の王毅(ワンイー)・共産党政治局員兼外相は14日、イスラエルのカッツ外相、イランのアラグチ外相とそれぞれ電話協議した。中国外務省によると、王氏は緊迫する中東情勢に懸念を表明し、事態がエスカレートしないよう双方に自制を求めた。
カッツ氏との協議で、王氏はパレスチナ自治区ガザでの戦闘の即時停止を要求し、「(イスラエルとパレスチナが将来的に国家として共存する)『2国家解決』という政治的解決の軌道に戻ることを望む」と述べた。また、レバノン南部でイスラエルとの国境を監視する国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)施設へのイスラエル軍による攻撃については、人員の安全確保の徹底を求めた。
イランのアラグチ氏に対しては、ガザ情勢について「中国は一貫して対話と協議を通じて問題解決することを主張している」とし、「沈静化に向けて建設的役割を果たす」と表明した。
中国は昨年10月に始まったガザのイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘が激化するのに伴い、米国の支援を受けるイスラエルを批判し、パレスチナ寄りの姿勢を鮮明にしてきた。中東では昨年3月、対立するイランとサウジアラビアの国交正常化を仲立ちし、今年7月にはパレスチナ自治区の各派の和解を仲介するなど、この地域で影響力を高めつつある。(北京=井上亮)