台湾・東シナ海方面で活動する中国軍東部戦区の代表団が13~17日に来日しました。中国側のねらいや、自衛隊と中国軍の交流の意義などについて、日中佐官級交流に取り組む笹川平和財団の上級フェローで、中国の安全保障を専門とする小原凡司(ぼんじ)氏に聞きました。
東部線区から6年ぶり2回目
――東部戦区の代表団の訪日は6年ぶり2回目です。東部戦区とは、どういう組織ですか。
「台湾や沖縄・尖閣諸島など東シナ海の南側の大部分を占める区域を担当しています。その代表団が来日するということは『中国は日本と衝突するつもりはない』と示したいのだと思います。現場レベルで、部隊がそれぞれどのような考えや命令に基づき行動しているのかを知ることにより、相手への不信感や不安要素を少しでも取り除くことが大きな目的だと思います」
――なぜ日本との関係を良くしたいのですか。
「中国は台湾を『不可分の領土の一部』と主張しており、武力侵攻する可能性もあります。その際、米国に軍事介入されることを一番恐れています。米国の介入のきっかけになり得る要素の一つが、日本と中国の衝突です。日本は米国の同盟国で、日本が攻撃されれば、米国は自動的に介入します。『日本と衝突するつもりはない』と示すことで、その可能性を排除したいのでしょう」
――米国ではまもなく、トランプ政権が発足します。米中対立も予想されますが、このタイミングでの訪日と関連があるでしょうか。
「日本に少しでもトランプ政権と距離を取らせたいという考えはあるかもしれません。米国が中国に強硬策をとろうとしても、日本が米国と違う考えを持っていると、状況は大きく変わります」
日本が伝えるべきことは
――中国軍と交流する際、日本側は何を伝えるべきでしょうか。
「まず『日本は中国と敵対す…