大阪府寝屋川市の少年補導員の男性は、夜に街を行く子どもに声をかけるとき、ある事件のことを口にする。
2015年、夏休み中の深夜に外出中の中学1年の男女が殺害された。
大人の目が行き届いていれば、違う結果だったかもしれない――。男性を突き動かすのは、子どもを守れなかったことへの自戒の念だ。
事件から13日で10年になる。
5日、京阪寝屋川市駅近くの寝屋川一番街商店街やその周辺に、青いキャップをかぶった男性たちの姿があった。
大阪府警の委嘱を受けたボランティアの少年補導員で、この日は午後7時から40分ほど寝屋川署員らと計15人で声をかけて回った。
「すぐ帰ってね」「遅くならんように」
署員らがそう呼びかけるのをよそに、少年補導員の荻野茂基さん(77)は女子中学生2人にこう尋ねた。
「10年前に事件があったの…