The Resistance to a New Trump Administration Has Already Started

 もしトランプ前大統領が今年2024年11月の米大統領選で再選され、公約通りに不法移民の大規模な強制送還に踏み切ったら、どう対応すべきか――。そんなシナリオに備えて、反トランプ陣営は、訴訟で対抗する準備を進めている。第2次トランプ政権が税務調査権と徴税権を持つ内国歳入庁(IRS)を使って特定の団体を標的にしてきても対抗できるよう、ある団体はすでに新たな監査法人と契約した。民主党の知事が率いる州政府の中には、妊娠中絶薬の備蓄を進めるところもある。

 トランプ政権の再来に備え、民主党関係者や進歩派の活動家、監視団体、元共和党員など、広範な反トランプ派はいま、さまざまな準備を進めている。その背景には、トランプ氏の復権は各団体・組織が推進する政策テーマのみならず、米国の民主主義自体に重大な脅威を及ぼす、との共通認識がある。

 「トランプ氏は法律を無視し、米国の制度の限界に挑むと明言している」と話すのは民主・共和両党の州政府関係者らと連携する超党派の民主主義監視組織「ステーツ・ユナイテッド・デモクラシー・センター」のジョアンナ・リドゲイト最高経営責任者だ。「我々の視界の先は非常に暗い」

州またいだ流通どうなる

 米連邦最高裁は6月13日、人工妊娠中絶のために使われる経口中絶薬「ミフェプリストン」の連邦承認無効を求める訴えを退けた。しかし、第2次トランプ政権が承認を取り消すか、あるいは19世紀の道徳法規を持ち出してきて、州境を越えて中絶薬を運ぶことを犯罪と認定するのではないか、とリベラル陣営は危惧している。

 ワシントン州のジェイ・インズリー知事(民主党)は、かりに第2次トランプ政権が誕生しても、その期間中、女性たちがミフェプリストンを入手できるよう、同州内に十分な量の錠剤をすでに確保したと話す。

 「州内に物理的に保管しているので、トランプ氏や中絶反対派が(州をまたいだミフェプリストンの)流通を禁止しても、それに対抗できる」とインズリー知事はニューヨーク・タイムズ(NYT)に語った。「この薬の使用期限は5~6年だ。トランプ政権が再来しても、乗り切れる」

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

大統領に返り咲けば変革を断行する、とトランプ氏は公言しています。一方、NYTが取材した中道・左派系の団体幹部のほとんどが、トランプ氏の復権阻止に全力を尽くしていると語ったそうです。

 大統領に返り咲けば抜本的な…

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