沖合のいけすで養殖され、今シーズン初めて水揚げされた久慈育ち琥珀サーモン=2025年4月10日午前6時49分、岩手県久慈市長内町、坂田達郎撮影

 岩手県久慈市の沖合で養殖されたギンザケが10日、今シーズン初めて水揚げされた。体長約40センチ(約1.2キロ)に育った約2.6トン(約2200匹)が、東北各地のスーパーへ出荷された。

 東日本大震災後、県内漁業の中心だった天然の秋サケが急減し、数年前からサーモン養殖が本格化。県によると、県内の水揚げ量は2019年度の16トンから、24年度には久慈など沿岸6市町で計2032トンに増えた。

 久慈市漁協は「久慈育ち琥珀(こはく)サーモン」として事業化し、4年目を迎えた。昨年11月に久慈湾のいけす(直径25メートルの円形)6基に180グラムの稚魚36万9千匹を放った。この日は早朝に船が戻ると、水揚げされたギンザケが勢いよく跳ね、銀鱗(ぎんりん)が輝いた。

 市漁協はいけす2基でトラウトサーモンも養殖しており、昨年の水揚げはギンザケ678トン、トラウトサーモン111トン。今季はそれぞれ700トン、120トン以上を目指している。

 琥珀サーモンは、昨年を上回るキロ当たり900円台後半で取引される見通し。6月以降は1匹2.5キロほどに大きくなり、水揚げは7月下旬まで続く。トラウトサーモンも5月に水揚げが始まる。

 養殖サーモンの需要は世界的に増加し、国内では各地に「ご当地サーモン」が誕生している。市漁協の馬内悟・自営養殖課長は「久慈市では養殖事業が水産業を支える重要な柱になった。琥珀サーモンは地元特産の山ブドウの皮や種を混ぜたエサを与え、脂がのっている。刺し身などで味わってほしい」と話した。

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