現場へ! 逆風 風力発電(4)
穏やかな風が吹くなか、発電用の風車が回り続ける。「ピュイ」「ピュイ」……。どうやら鳥が接近したらしい。風車に取りつけられたスピーカーから、鳥の嫌がる「忌避音」が流れた。風車との衝突を防ぐためだ。
日本最北端の北海道稚内市から南に車で下り、幌延町に入ると、海岸近くに立ち並ぶ14基の風車が見えてくる。
オジロワシなど10羽が犠牲に
風力発電最大手ユーラスエナジーホールディングス(東京)の子会社が運営する「浜里ウインドファーム(WF)」。のどかな景色とは裏腹に、鳥の衝突事故が相次ぐ。
2023年5月の稼働以来、今春までに国の天然記念物オジロワシ10羽とオオワシ1羽が衝突、うち10羽が死ぬバードストライクが起きた。
対策としてユーラス社は3月25日、オジロワシなどの海ワシ類が活動する日の出1時間前から日没まで、日中の運転を全基停止した。半径300メートル圏内に鳥が入ると忌避音を出すスピーカーを追加するなど対策を強化。7月12日、事故が多発した1基を除いて再開した。
だが、その約3週間後の8月…