原子力防災訓練で患者搬送を訓練する鹿島病院の職員たち=2024年11月9日午前10時43分、松江市鹿島町名分、堀田浩一撮影

 原発災害時、自力で動くことが困難な人たちをどう避難させるか。7日に再稼働した中国電力島根原発2号機(松江市)の営業運転が来月上旬に迫る中、事故時の不安を払拭(ふっしょく)できない医療現場がある。

 「患者さんを安全に避難させることができるだろうか」。松江生協病院(同市)の真木高之院長(59)は、2019年に島根県のガイドラインに沿って策定した同病院の避難計画に自信が持てないでいる。

 島根原発から約11キロの総合病院。約320人の入院患者を抱える。

 避難計画では、放射線量が一定の基準を超えた場合、入院患者を原発から30キロ圏外の病院へ転院させることになっている。転院先は県が調整するというが、「どこの病院もベッドを空けていたら大きな赤字が出る経営状況。空いたベッドがたくさんあるとは思えない」と危惧する。

 入院患者を搬送するとなれば、医療機器を備えた救急車のような車両が多く必要になる。現状の避難計画では「県が国、関係機関の協力を得て確保する」となっているが、搬送がスムーズに進むか気がかりだ。

 地震などとの複合災害になっ…

共有
Exit mobile version