猛暑が日本列島を襲っている。これからの気温上昇を抑えるには、温室効果ガスの排出量削減が不可欠だ。日本政府は2050年までに排出量を全体でゼロにする「カーボンニュートラル」をめざすが、今ある技術だけでは達成は難しい。二酸化炭素を出さない社会は実現できるのか。北海道大学地球環境科学研究院の山中康裕教授に、国と地域、消費者に求められる政策を聞いた。
2050年までに、日本は温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」をめざしています。二酸化炭素を集めて地中に埋める「CCS」や水素エネルギーの活用などで2030年の目標までは進むかもしれませんが、そこから先は現在の技術だけで達成は無理です。
かつての日本は先進国の中でも優等生で、環境技術を海外に提供していました。しかし、2011年の東日本大震災以降は余裕がなくなり、いまの暮らしの維持で精いっぱいになっている。
それでも、新技術を開発して、日本社会を「二酸化炭素を出さない社会」へと変えていかねばなりません。
そのためには、国民も「賢い消費者」になることが求められます。
海外から色々なものを買わない、ビニール製品を使わない、などと普段から「二酸化炭素を減らす暮らし」へと切り替えていく覚悟が必要でしょう。
日本という国は原油などエネルギーを外国から買う一方、自動車などをつくり輸出することで成り立っています。近年、ウクライナとロシアの戦争や米国のトランプ政権による関税競争で、グローバル経済が揺らいでいます。日本経済のあり方も含めて、エネルギーをどう確保していくかを真剣に考える時期に来ています。
北海道は、その点で重要な役…