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大学生らに向けて講演する金鎮湖さん=2025年3月3日午後7時31分、広島市東区、魚住あかり撮影

聞きたかったこと 広島

 広島で被爆した朝鮮半島出身者や2世らの団体「広島県朝鮮人被爆者協議会」の会長として日々、講演をしたり、会員の悩み相談に乗ったりと県内を飛び回る。自身も母親のおなかの中で被爆した胎内被爆者だが、広島市西区の金鎮湖(キンヂノ)さん(79)がそれを知ったのは10代になってからだ。

 原爆投下の翌年、可部町(現・広島市安佐北区)で金属回収業と農業を営む両親の下で生まれた。在日朝鮮人2世で、9人きょうだいの8番目。自身が被爆者だと知ったのは中学生のころだ。「絶対に、両親にも誰にも言ってはいけないよ」。一番上の姉(長女)がそう言って、あの日のことを教えてくれた。

 1945年8月6日、可部町にいた両親は、市内にいる娘2人を探しに向かって入市被爆した。当時16歳だった長女は親戚の家に米を届けるために、14歳の次女も建物疎開のために市内へ出ていた。

 そのとき母親のおなかの中にいたのが、自分だったという。だが、両親は産まれた息子に被爆の事実を秘密にし続けた。

 「ただでさえ朝鮮人は蔑視さ…

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