パリ五輪の体操女子個人総合決勝を撮影するフォトグラファーたち=2024年8月1日、ベルシー・アリーナ、田辺拓也撮影

 パリ五輪・パラリンピックでは、日本のカメラメーカーもしのぎを削っている。スポーツ写真の分野で長年シェアを競ってきたキヤノンとニコン。そこに新興のソニーが加わり、パリ五輪で「3強」の構図ができあがった。戦いの主役は各社の旗艦モデルが出そろったミラーレスデジタル一眼カメラだ。

 競泳競技の会場となったパリのラデファンス・アリーナ。階段状の撮影席では決定的な瞬間を逃すまいと、撮影者らが一心にファインダーをのぞき込む。

 スポーツ写真などに使うプロ向けの機材では従来、キヤノンとニコンがシェアを分け合ってきた。望遠レンズの色がキヤノンは白色、ニコンは黒色。世界中から腕利きの撮影者が集まる五輪でのシェア争いは「白黒戦争」とも呼ばれてきた。

競泳のプールサイドに設けられているフォトポジションで撮影するフォトグラファーたち=2024年7月31日、ラデファンス・アリーナ、樫山晃生撮影

 パリ五輪では、その様相が変わった。望遠レンズはキヤノンと同じ白色だが、ストラップに記された「SONY」のロゴが目立つようになった。ばらつきはあるようだが、3社が拮抗(きっこう)しているようにみえる競技もある。

 報道機関の拠点となるプレスセンター内にカメラメーカーが構えるサポートブースも、今大会からキヤノン、ニコン、ソニーの3社が同じ規模になったとされる。国際オリンピック委員会(IOC)の依頼を受けて設営され、機材の貸し出しや故障に対応している。

 2016年のリオ五輪では、ソニーのブースはプレスセンターの場外。21年の東京五輪で場内に進出したが、2社に比べてこぢんまりとしていた。今大会は「ようやく」(同社関係者)という、念願の待遇だ。

パリ五輪のメインプレスセンターに開設されたカメラメーカー3社のブース=2024年8月3日、パリ市内

転換点は東京五輪

 ソニーはコニカミノルタのカメラ事業を06年に買収して参入。当初からミラーレスに注力し、一般向けではキヤノンと首位を争うまでになった。

 しかし、過酷な環境でも撮影…

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