プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者、井上尚弥(32)=大橋=は5月4日(日本時間5日)、米ラスベガスで世界ボクシング協会(WBA)同級1位のラモン・カルデナス(29)=米国=との防衛戦を行う。井上の世界戦(世界王座をかけた試合)通算成績は24戦全勝(22KO)。今回もKO勝利を飾れば、世界戦23KO勝ちは「世界新記録」とされる。どれだけ偉大な記録なのか。元世界2階級王者の亀田大毅氏(36)に聞いた。
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プロボクサーの中で、世界戦のリングまでたどり着けるのは数千、数万人に一人。ここで勝つか負けるかで、人生が変わる。だから、世界戦だと選手は1・5倍は強くなる。まず、倒れない。
それを井上選手はバタバタと倒す。まさに、モンスター。
自分は世界戦を8戦やって4勝。KO勝利はない。(元世界3階級王者で)兄の興毅も世界戦12勝2敗で2KO勝ち。
そもそも、自分は世界戦でKOを狙ったことはない。「勝たなきゃ」「ベルトを取りたい」「(防衛戦ならベルトを)守りたい」と。試合中、常にそれが頭にある。12ラウンドでポイントを7回取らないといけない。そういうことがよぎると、KOは遠ざかる。
自分は世界王者になりたいだけだった。井上選手は4本のベルトを守り、その上で相手をバタバタと倒す。世界戦のリングで普通はそんな余裕はないですよ、少なくとも自分は。
彼のすごさは攻守すべて。その中で、一つ挙げるなら弱点がないところ。
打たれ弱いかと思ったら、昨年5月のネリ戦ではダウンしたけど、すぐに回復した。
前半のKO勝利が多かったからスタミナがないかと思ったら、最近は後半のKOも多い。普通はどこか弱点があるものだが、彼にはない。
それから、チームも大きい。
2007年10月、自分が世…