お互いの呼吸を感じるため、席を立ち向き合って合奏する部員ら=2025年9月10日午後5時43分、東京都板橋区赤塚7丁目、石川瀬里撮影

 20日から府中の森芸術劇場(東京都府中市)で始まる第65回都吹奏楽コンクールと第44回都小学生バンドフェスティバルステージ部門。20日の中学生の部に出場する板橋区立赤塚三中の明村健太郎教諭は、亡き父との縁を感じる曲の指揮を振る。

  • 笑顔で等身大の愛を伝えたい 赤塚三中、全日本マーチングコン出場へ

 9月半ば、指揮を振る顧問の明村健太郎教諭が部員に、席を立ち、互いに向かい合って演奏するように指示を出した。「心を一つにすることがすごく大事。できるよ、今年のメンバーなら」

お互いに目を合わせ、向かい合って合奏練習する部員を見守る明村健太郎教諭(中央)=2025年9月10日午後5時51分、東京都板橋区赤塚7丁目、石川瀬里撮影

 自由曲に選んだのは、ショスタコービチ(1906~75)の交響曲第5番の終楽章の吹奏楽アレンジ。冒頭、激しいティンパニの打ち込みに呼応するように、トロンボーンなどの金管が緊迫感のある音でファンファーレを奏でる。マーチングの全国大会常連校らしい音圧で、ショスタコービチの苦悩や悲しみ、そこからの解放など、激しい気持ちの揺れを描く。部員たちはアイコンタクトを取りながら、演奏を作り上げていった。

「運命」のショスタコービチ交響曲第5番

 今年、この曲を選んだことは「運命だったのかも」と明村教諭は言う。

 10年ほど前に父が亡くなり…

共有
Exit mobile version