パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで2025年3月18日、イスラエルの空爆によって破壊された建物を見るパレスチナ人や、座り込む子ども=ロイター

 停戦合意から2カ月、イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃を再開し、イスラム組織ハマスは合意違反と強く反発した。背景に何があったのか。停戦交渉が停滞する中での激しい攻撃に、国際社会からは強い懸念の声が上がった。

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 イスラエルのネタニヤフ首相は18日、ハマスが人質解放を拒否し、すべての停戦提案を拒んでいるため、強力な行動を取るように指示したと述べた。停戦交渉が膠着(こうちゃく)するなか、ネタニヤフ政権は停戦合意後、最大規模の軍事行動に踏み切った。

 イスラエル軍は18日未明からガザ全域で空爆を実施。軍はハマスの軍事施設を標的にしたと発表したが、住民が避難しているテントや民家を含む多数の建物が破壊された。パレスチナメディアは、ガザ内のハマスの情報機関の幹部ら5人が殺害されたと伝えた。

 イスラエル首相府は「今後は軍事力を増強してハマスに臨む」としており、さらに攻勢を強めるとみられる。ハマス側が人質解放など譲歩を示さない場合、イスラエル側は地上作戦の展開も視野に入れているとの観測もあり、停戦合意が完全に崩壊しかねない。

 1月19日に発効した停戦合意は、就任直前だったトランプ米大統領の圧力が合意に消極的だった双方を動かしたとされるが、ネタニヤフ政権は、軍事的な圧力のみがハマスの譲歩を引き出せるという姿勢で、当初から「薄氷の合意」とみられていた。

ネタニヤフ氏を攻撃に駆り立てた国内事情

 イスラエルとハマスは、合意…

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