(19日、第107回全国高校野球選手権大会準々決勝 京都国際―山梨学院)
夏の甲子園連覇を狙う京都国際のベンチには、ある合言葉がある。
「嘉門を国体に」。右足首を骨折し、最後の夏を記録員として迎えた嘉門翔太主将(3年)を、秋の国民スポーツ大会のグラウンドにもう一度ユニホーム姿で立たせたい――。
仲間たちはその思いを胸に、夏の甲子園を8強まで勝ち上がってきた。
昨秋の府大会、新チームは16強で敗れた。「能力はあるのに気持ちの弱さで力を出し切れていない」。小牧憲継監督はそう考え、大会後に昨夏レギュラーだった清水詩太選手(3年)から主将を交代し、いずれも新チームからベンチ入りした嘉門選手と倉橋翔選手(3年)の「ダブル主将制」を導入した。
冷静に全体を見渡す嘉門選手と、先頭で声を張る倉橋選手。正反対の2人が並ぶことで、「昨夏の王者」という重圧を抱えたチームを立て直せるはずだ、と期待を込めた。
ただ、任命当初の2人は不安を感じていた。倉橋選手は「先輩方が全国で優勝されたので、自分たちの代は注目される。だからこそ礼儀やあいさつなど、人としての部分でしっかり見本になり、優勝校の名に恥じないようにと意識した」と振り返る。
嘉門選手も「正直、生きてきた中で一番の責任を感じた」と明かす。「次の世代というプレッシャーがあり、どうやってチームをまとめたらいいのか分からなかった」
まず考えたのは「まとまり」だ。2人から見えたチームは「まとまりに欠けていた」。主将同士や3年生と何度も、どうすれば全員で一つになれるかを話し合った。
練習メニューは大きく変えず…