過疎化が進んで交通量が減るなどした場所について、全国の警察は信号機の撤去を進める。全国に約21万基ある信号機の4分の1は耐用年数を経過し、老朽化が進む。必要なところに予算を効率的に使うため、約4300基を撤去する計画だが、地元住民との合意が課題という。

 信号機は車の普及とともに、右肩上がりで増えた。警察庁によると、死亡事故が過去最悪の1万5801件を記録した1970年の信号機の数は約2万基。2024年3月末時点で約21万基あり、都道府県別では東京の1万6030基が最多で、鳥取の1303基が最少だ。

撤去が検討されたものの保留となった信号機のある道路では、多くの車が行き交っていた=2024年11月17日午後2時35分、茨城県つくば市、板倉大地撮影

 信号機の老朽化は課題の一つ。耐用年数は19年とされ、改修の必要があるのは24年3月末で約5万基。改修で1基あたり約130万円かかるうえ、メンテナンスなどの維持費もかかる。

信号機倒壊も17件 23年までの10年間 老朽化など

 老朽化するなどして信号機が倒壊した事故も23年までの10年間で17件起きた。21年には三重県鈴鹿市で信号機の柱が倒壊したが、折れた根元が腐食していたことから、犬の尿が原因の可能性があった。24年も静岡市で7月に倒壊事故が起きた。

 全国の警察は予算を効率的に使うため、信号機の改修と並行して撤去を進める。警察庁は、24年度から28年度までの5年間で都道府県警が撤去する信号機の目標数を調査。その結果、全体の約2%にあたる計4299基(未設定の3県警をのぞく)が該当したという。和歌山と徳島で撤去対象となった割合が両県全体の約10%に上り、最も高かった。

1時間300台以上…… 信号機設置の条件は

 信号機設置の条件は警察庁の指針で定められている。「1時間あたりの交通量が原則300台以上」「隣接する信号機との距離が150メートル以上」といった5項目を満たし、さらに「小中学校や病院が近い」「年間2件以上の人身事故が起きており信号機以外に対策がない」などの項目のいずれかに当てはまる必要がある。

 条件に該当しなくなると、撤去が検討される。警察庁によると、具体的な撤去対象は信号機がない方が交通が円滑になったり、なくても安全が確保できたりする場合など、さまざまな観点から総合的に判断しているという。

 信号機の撤去に住民が反対するケースもあり、警察庁幹部は「各警察で地元の理解を得ながら進めていく必要がある」と話す。

閉校で撤去対象に

 茨城県つくば市上大島にある…

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