四国4県で651の集落は人が住んでいない――。愛媛大社会共創学部の渡辺敬逸(ひろまさ)准教授(地理学)はそうした調査結果を2022年の日本地理学会で発表した。

 渡辺准教授は、国土地理院作製の地形図に掲載されている地名などから4県に計1万8177の集落があることを確認。15年の国勢調査による人口分布図を重ね合わせるなどして、現住戸数が2戸以下の1929集落を抽出し、当該市町村へ郵送で調査を依頼。その結果、人が住んでいない集落を651と特定した。

 加えて、市町村から「不明」などと回答があった集落について統計学的に推計した結果、4県の全集落の約6%にあたる1062集落を、かつては人が住みながら現在は人口がゼロになった「無住化集落」とした。

 高知・徳島県境の剣山系周辺や、高知・愛媛県境の石鎚山系周辺など、山間部に多く分布していた。市町村別では、愛媛県の西条市と四国中央市、高知県の香美市と四万十市、徳島県の那賀町で多かった。

 調査結果からは、人が住む集落の約7割では車で15分の圏内に病院や商店などの生活関連施設が位置しているのに対し、無住化集落では6割超が15分圏外にあった。

 無住化集落が標高200メートル前後を境に増えることや、林野率が80%を超す山間農業地域に多いことから、「厳しい自然環境や林業を中心とする脆弱(ぜいじゃく)な生業構造に加え、利便性の低さも無住化集落の特徴だ」と分析した。

 渡辺准教授は今後も無住化集落が増えるとみており、国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「日本の地域別将来推計人口」を元に、無住化集落は2030年で1608集落、50年には2431集落にまで増えると推計。「近い将来に四国地方山間部で多数の無住化集落が発生する傾向は避けられない」と指摘する。(羽賀和紀)

全国に先駆ける形で、四国の山間部で人口減少が進んでいます。自治会活動や地方自治にどんな影響を及ぼすのか、現場を訪ね、識者に聞きました。

「村には学校も働き口もない」

 「小学校の講堂がいっぱいになるほど、昔は子どもがいたのにね」

 徳島県美馬市の山間部にある…

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