【動画】花火師たちの言葉=室矢英樹撮影

「大曲の花火」の運営を仕切る大曲商工会議所の淀川真樹子さん。元放送部員で、大会当日は美声で大会進行のアナウンスをつとめる=2025年8月8日午後2時36分、秋田県大仙市、室矢英樹撮影

連載「HANABI」第10部 花火師たちの言葉(3)

 淀川真樹子さん(51)は、観客と花火師をつなぐ「大曲の花火」(秋田県大仙市)の裏方トップ。元上司の言葉を機に、自らの役目を自覚したという。

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 おかげさまで、8月30日開催の大曲の花火(正式名・全国花火競技大会)は、有料観覧席が完売しました。

 円安と物価高で資材費と警備費が上がり、ロシアによるウクライナへの侵攻で火薬の原料も高騰。悩んだ末にチケット代を値上げしました。

 それでも10万人ものお客さまが会場にお越しになってくれる。本当に感謝しています。あとは、当日の好天、無事故を祈るばかりです。

 大曲商工会議所には、全国の商議所で唯一、花火に特化した「花火振興事業部」があります。大会の企画・運営に会場の設営、旅行会社との交渉、チケットの販売が主な業務です。

 秋田県大仙市では「毎月花火が打ち上がるまち」とうたっていますが、商議所は春、夏、秋の大曲の花火3部作のほかに、1~12月の市内16大会にかかわっています。

 部長の私を含むスタッフ9人は一年中、花火の仕事に専念しています。

 前身の花火振興課が商議所に発足したのは、東日本大震災が起きた2011年の春。当時の佐々木繁治会頭(現名誉会頭)の発案でした。

 その2年前、ネット販売を始めましたが、割合は観覧席全体の1%ほど。一般のお客さま向けは90%以上が直接販売でした。

 販売当日を迎えると、暑い夜も雨の日も関係なく、徹夜組が長い列をつくりました。

「早い者勝ち」だったチケット販売

 佐々木前会頭は「このままで…

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