京葉製造株式会社の竹内喜一郎社長(左)は、東京・葛飾区にある同社の新工場の図面を確認しながら脱炭素化の取り組みについて語る。
2023年9月6日 11時03分(日本時間)
地球温暖化の進行に伴い、中小企業では製造工程における温室効果ガスの排出量を削減する動きが広がっています。
この開発は、環境問題への関心の高まりと、ビジネスパートナーからの対応を求める声によって推進されました。 しかし、ノウハウや資金の不足に悩む中小企業経営者も少なくありません。
政府もこうした懸念を軽減し、脱炭素化を後押しするためにさまざまな支援策を講じている。
私たちは何をすべきか?’
「当社だけではカーボンニュートラル目標を達成することはできません。 皆さんにも積極的に関わっていただきたいと思っています。」
今年初め、東京・葛飾区に本拠を置くタイヤチェーンメーカー、京葉製鋼株式会社に対し、同社の法人顧客の一つである大手鉄鋼メーカーからこの依頼があった。 しかし、竹内紀一郎社長(50)は戸惑いを隠せなかった。 「地球環境の大切さはわかったけど、具体的に何をしなければいけないの?」
同社の工場では、タイヤチェーンの強化工程に熱処理炉が使用されている。 これにより大量の重油が燃焼し、毎日大量の温室効果ガスが排出されます。
同社が定期的に経営相談を行っているりそな総合研究所に相談したところ、同研究所は来年秋に千葉県八街市に移転する新工場の電動化を提案した。
同社では重油を燃やさずに済むよう、電気熱処理炉の導入を決めた。 同社はまた、フォークリフト8台と社用車1台を電気自動車に置き換える予定だ。
大量の電力消費を賄うため、新工場の屋上には約1700平方メートルの太陽光パネルを設置する。 新工場により、現工場で発生するCO2約500トンが削減できると試算されている。
竹内氏は「ロシアのウクライナ侵略が長期化すれば、エネルギー価格は高止まりする可能性がある。 初期投資は高額ですが、長期的には企業経営の向上につながると信じています。」
サプライチェーン全体
地球温暖化対策の推進に関する法律では、年間3,000トン以上の温室効果ガスを排出する企業に対し、所管官庁への排出量の報告が義務付けられています。
国内企業の99.7%を占める中小企業の多くはこの義務から免除されており、大企業に比べてCO2排出抑制への取り組みが遅れている。
世界中で豪雨や熱波などの異常気象が頻発する中、2015年にパリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択された国際条約「パリ協定」に基づき、各国が温室効果ガス削減に向けた世界的な取り組みに合意した。
トヨタ自動車やアップルなどのグローバル企業は現在、原材料の調達、物流、廃棄を担う中小企業を含めたサプライチェーン全体でのCO2排出量削減を目指している。
日本政策金融公庫総合研究所が昨年8月に中小企業1666社を対象に実施した調査によると、44.9%がCO2排出量削減に取り組んでいると回答した。 これは 3 年前と比べて 3 パーセントポイント増加しています。
今後3年間の排出削減方針については、7割以上の企業が取り組みを進めると回答した。
一方で、中小企業経営者の中には「コストが高くなる」「どう取り組んでいいかわからない」といった不安も根強くあります。
同研究所の深沼光主任研究員は「意欲は高い」とみる。 [among SMEs] 脱炭素化に向けて、コストやノウハウの障害が乗り越えられれば、取り組みが加速する可能性が高い。」
コミュニティ全体の取り組み
経済産業省によると、中小企業の温室効果ガス排出量は推計年間1億2000万~2億5000万トンで、国の総排出量の10~20%を占める。
政府は2021年の閣議決定で、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを推進する方針を示し、CO2排出量削減に向けた設備を導入する事業者に対する補助金や低利融資などの一連の制度を創設した。
環境省は今年6月、自治体や金融機関、商工会議所が連携してカーボンニュートラルの取り組みを支援するモデル地区として秋田市や愛知、京都府など16地域を選定した。地域社会における中小企業の
この制度では、中小企業のCO2排出量の算出や省エネ対策などに向けて、地方自治体の関係団体による取り組みを奨励しています。 今秋、中小企業の経営者に排出削減をアドバイスする「脱炭素アドバイザー」という資格が新設される。
同省気候変動政策課の課長補佐は「中小企業では脱炭素化の取り組みが進んでいないため、排出削減の余地は十分にある。 個々の企業の排出量は少なくても、組み合わせるとその効果は大きくなるはずです。」