楽しさの背景には、深いデザイン理論があるのではないか――。展示に触れ、体を動かしながら、デザインを体感できる仕掛けに満ちた今展を見ているとそう思えてくる。NHKの子ども向けデザイン番組を展覧会に仕立て、2期にわたり全国で計116万人を動員した展示をアップデートし、今回も大人気の展覧会だ。
注目すべきは、デザインを「あるく」「すわる」といった動詞から考察している点。「たべる」のコーナーには、長さ3メートル超の巨大な箸につままれる餅の模型に乗って遊べる展示がある一方、箸やスプーン、フォークなどには多様な機能があることをたくさんの模型で示すアート集団・プラプラックス制作の「ひとくち あーん」がある。
これは、アフォーダンスの考えに基づくのではないか。「アフォード(与える)」という英語の動詞から生まれた知覚心理学の理論で、「地面には体を支えるアフォーダンスがある」などと使う。
デザインにも影響を与えていて、この展示にフォークには「さす」だけでなく、「きる」や「まとめる」といったアフォーダンスがあると改めて気づく。そして動詞を手がかりにする展覧会全体の背景にも、この理論があると思える。
「もつ」のコーナーにある岡…