来場者でにぎわう深沼海水浴場=2024年8月、仙台市若林区荒浜、仙台市提供

 東日本大震災で津波被害に遭った仙台市若林区荒浜の深沼海水浴場が今夏、15年ぶりに本格再開する。昨年は場内の人数を最大800人までとする制限があったが、今年は津波発生時の避難場所を確保。人数制限がなくなる。

 期間は7月19日~8月17日の計30日間で、午前9時~午後4時に開場する。仮設のシャワーやトイレを置き、有料駐車場も設ける。キッチンカーも並ぶ予定だ。

 深沼海水浴場は市内唯一の海水浴場。かつては自治会などの住民が運営に関わり、震災前年の2010年には30日間で4万7千人ほどが訪れていた。

 だが、11年の震災の津波でトイレや更衣室が流され、がれきが散乱。震災後、荒浜地区は住宅の新築や増改築を制限する「災害危険区域」になり、以降は数日間限定でオープンすることもあったが、原則、遊泳禁止となった。

 市は海水浴場から600メートルほどの場所に海抜約10メートルの「避難の丘」を2カ所整備したが、宮城県が22年に公表した津波浸水想定を元に、高さが足りないと判断した。

 市は昨年、近くの震災遺構の旧荒浜小などを避難場所として確保。海水浴場の運営を引き受け、場内の人数を最大800人と制限した上で試行再開させた。昨年の来場者は計1万4285人(30日間)で、1日最多で1700人が来場した。

 さらに、市は今年1月には避難の丘の高さを1メートルかさ上げする工事を完了させ、計6590人が避難できるようにした。昨年の試行再開では「海開き」を心待ちにしていたという市民の声が多く届いたこともあり、震災以来となる人数制限なしの再開を決めた。

 今年はかつて荒浜地区に住んでいた町内会長や、集団移転跡地を利活用する事業者で構成する協議会が運営する。1日あたりの来場者は平日に300人、土日祝日には1千人を見込んでいる。

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