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八戸学院光星―仙台育英 六回、本塁に生還する仙台育英の刀祢=2025年6月14日午前11時51分、ヤマリョー、岸めぐみ撮影
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 第72回春季東北地区高校野球大会の決勝が14日、山形県中山町のヤマリョースタジアム山形であり、仙台育英(宮城1位)が7―2で八戸学院光星(青森2位)を倒し、8年ぶりの優勝を果たした。優勝回数は13回で歴代最多となった。

 仙台育英は三回から登板した刀祢悠有希(ゆうき)投手(3年)が八回まで10奪三振、無失点の好投。打線は二回に5長短打を集めて逆転し、その後も加点して流れを渡さなかった。

 八戸学院光星は二回に先取点を奪ったが、三回以降は的を絞れず、持ち前の打力を発揮できなかった。

刀祢悠有希投手が好投

 仙台育英の刀祢悠有希投手(3年)の得意のスライダーに、強打の八戸学院光星打線のバットが何度も空を切った。「スピードや曲がり方を変えている」という複数のスライダーが武器だ。

 マウンドでは、川尻結大(ゆいと)捕手(3年)のサインに何度も首を振った。納得がいかなかったわけではない。実はこれも作戦で、試合後、「相手を迷わせるために首を振っていた」と明かした。

 大阪府出身。3年前、仙台育英が全国制覇した試合のアルプススタンドで、優勝の瞬間を目の当たりにした。

 全国から実力ある70人以上の部員が集まり、「日本一のチーム内競争」を掲げる。須江航監督は「最後まで競争させて、この子と戦うんだと納得できる選手を選ぶ」と断言する。今大会はベンチ入り20人のうち、4人が1年生。与えられたチャンスで成果を求められる厳しい環境だ。

 だが、刀祢投手はこの1年、けがに苦しんだ。昨年3月、ひじを骨折。「最後の夏にはまだ間に合う」とリハビリに取り組み、8月に復帰。しかし、直後にまたひじに痛みが出てしまった。他の投手の活躍を見て「なんで自分だけ」と思った。そんな時、励みになったのが阪神タイガースの高橋遥人投手の存在だ。何度も手術を乗り越えて活躍する姿を見て「こんなもんじゃない、もう一回がんばろう」と切り替えた。

 今大会は背番号20でベンチ入りしたが「投げればみんなエース。自分が投げる時はしっかり抑えたい」という気持ちで10奪三振の結果を出した。チームメートはライバルであると同時に、トレーニングの方法や変化球の投げ方などを教え合う仲間でもある。「自分だけ良くても、甲子園には行けない。全員で良くなろうと思っている」。競い合い、高め合って最後の夏に臨む。

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