(10日、春季兵庫県高校野球大会決勝 東洋大姫路2―1報徳学園)
昨夏の兵庫王者・報徳学園との決勝前日。東洋大姫路の木下鷹大(ようた)投手(3年)は、練習中に岡田龍生監督から話しかけられた。「明日、何点で抑えられる?」
今春から背番号「1」をつけた右腕はちゅうちょなく答えた。「1点で抑えます」。今春の選抜大会での好投から得た自信がそう口にさせた。
試合は、二回にソロ本塁打で先取点を与えた。だが「1点は仕方がない。最少失点に抑える」と切り替えた。150キロ近い直球を中心に、相手打線を抑え込んだ。
木下投手は昨秋、けがでメンバー外だったが、今春の選抜大会1回戦で、けがで降板したエース阪下漣投手(3年)に代わって8イニングを無失点に抑えた。
ただ、続く2回戦では1イニング6失点と乱れ、チームも敗れた。「勢いに押された。失点してもいいから、少ない失点で抑えられなければだめだ」と感じた。
選抜大会後は、失点後の次の1球や配球をより慎重に考えた。4月のU18(18歳以下)日本代表候補強化合宿に呼ばれたことも自信になった。
決勝は1失点で完投した。岡田監督は「今日は木下に尽きる。よう頑張ってくれた」と賛辞を送った。木下投手は「背番号1をつけて優勝できた。最少失点に抑えて接戦に粘り勝てる投手へ成長できたと思う」と笑った。頼もしい姿は代わりの背番号「1」ではなかった。