栃木県立那須特別支援学校(那須塩原市)で21日、今年度末の廃止が決まった寄宿舎の「夏季レクリエーション」があった。中1から高3の23人が親やきょうだい35人と参加。療育手帳で軽度の子も最重度の子も一緒にピザを作って味わい、達成感を共有し、楽しんだ。
寄宿舎再開を楽しみにしてほしいとの願いをこめた2学期前の恒例行事。生徒は指導員の鈴木勝子先生の着付けで浴衣姿に。高1の君和さんは母より先にピザ生地を仕上げて満面の笑み。中1の将大さんは、指導員の菅井祐亮先生へ誇らしげに「ピザできました」。
学校の教室は6~8人。部活動もなく、寄宿舎ほど大人数の「仲間」が他にはいない生徒が大半だ。いつもはざわめきが苦手な高1の聖人さんも終始、笑顔だった。
「うそをつけない子の笑顔に指導員の良さが伝わる」と中2の謙臣さんの父。高3の佑太さんの母は、友だちに囲まれた息子の姿に「中3の特別支援学級は1人だったから」と目を潤ませた。
この日は、指導員13人と教諭ら10人が目配りした。大谷石の窯などを準備し、見守りもしたボランティア団体の渋井由放代表は、寄宿舎の廃止について「むなしく寂しい」と嘆いた。(小野智美)