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顧問弁護士とともに記者会見する静岡県伊東市の田久保真紀市長(左)=2025年7月7日午後8時5分、静岡県伊東市観光協会、南島信也撮影
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 学歴詐称の疑惑が指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長が7日夜記者会見し、卒業証書に関する調査を検察に委ねた上で辞職すると表明した。出直し市長選に立候補するという。市議会はこの日、市長に対する辞職勧告決議と、強い調査権限をもつ百条委員会の設置決議が全会一致で可決。市政の混乱を招いた市長に対する批判は日増しに強まっていた。

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 5月の市長選で初当選した田久保氏は東洋大学を実際には除籍されていたのに、市の広報誌で「東洋大学法学部卒」と紹介されていた。田久保氏は会見で、職員の確認に対して記載を認めていたと明らかにした上で、6月28日に大学で除籍を確認するまでは自らは卒業していたとの認識だったと強調した。

 また、田久保氏は学歴の確認を求める市議会議長らに対して卒業証書とされる文書を見せたとされている。7日の会見では、この文書と卒業アルバムや在籍期間証明書を上申書とともに静岡地検に提出し、調べを委ねるとの考えを示した。この手続きを進める間は市長職にとどまるという。

身内からも「ノー」

 田久保氏の学歴詐称疑惑が持ち上がって以降、市役所には抗議の電話が連日殺到し、日常業務に支障が出ている状況だった。特に田久保氏が、大学から除籍されたことを明らかにした2日の記者会見以降、電話約900件、メール約100件が市秘書広報課に寄せられたという。約9割が田久保氏への抗議だといい、ひっきりなしに電話が鳴っている状況だった。

 こうした事態を受け、市職員労組の委員長らが7日朝、田久保氏に「行政運営と職員の士気を停滞させないために、納得のいく説明と責任の所在を速やかに明確に」との要請書を手渡した。身内からも公然と「ノー」を突きつけられていた。

 本会議では、両決議に対し複数の市議が「市民を愚弄(ぐろう)している」などと賛成討論を行った。市長選で支持した市議も「しがらみのないクリーンな政治を訴えて当選した市長自らが説明すべきで、残念でならない」と批判した。反対討論を行った議員はいなかった。

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