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 香川と岡山の島などを舞台とした3年に1度の現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」が開かれている。瀬戸内の文化や暮らし、景観などに刺激を受けて制作された独創的な作品を紹介する。

ヤコブ・ダルグレン「色彩の解釈と構造」

 女木島(高松市)の住宅街に位置する休校中の女木小学校。25メートルプールには、木箱や米びつ、ビールケースなどが積まれている。共通するのは「四角いこと」。

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休校となった女木小学校のプールに展示されている=2025年4月25日午前9時35分、高松市女木町、渡辺杏果撮影

 使われなくなった四角いものを島民らから提供してもらい制作した「色彩の解釈と構造」。スウェーデン出身の作家、ヤコブ・ダルグレンさんの作品だ。

 ダルグレンさんは「捨ててしまうようなものを集め、作品を作って新しい街ができるように」と話す。遠くから見たり、近くから見たり、視点を変えながら作品を感じてほしいという。

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米びつや、ビールケースなど四角い物が集まる=2025年4月25日午前9時33分、高松市女木町、渡辺杏果撮影

 目を凝らして見ると「昭和歌謡六十年史」「浪花節だよ人生は」などと書かれた、色あせたカセットテープも見つかる。どんな人が聞いていたのだろう。誰かの人生をふと思う。

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演歌のカセットテープも積まれている=2025年4月25日午前9時38分、高松市女木町、渡辺杏果撮影

 プール隣の体育館地下には、複数の地域猫がすむ。もしかすると作品は、人間ではなく猫たちの街かもしれない。

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会場となった女木小学校の体育館そばで眠る地域猫=2025年4月25日午前10時0分、高松市女木町、渡辺杏果撮影

女木島(高松市)【アクセス】

 高松港から女木島、男木島を結ぶ船が出ている。女木港から歩いて7分。女木港で自転車の貸し出し(有料)もある。

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