朝起きてからどうやって会議に向かったのか。何を話したのか。その記憶だけがいまも戻らない。

 愛知県瀬戸市の三浦賢さん(57)は2018年7月、名古屋駅前のビルの一室で、会議中に話していて突然倒れた。

三浦賢さん=2025年5月22日、愛知県瀬戸市、高木文子撮影

 2人の同僚が必死に人工呼吸と心臓マッサージをし、救急隊員に引き渡した。ICU(集中治療室)で目を覚ましたのは5日後。心筋梗塞(こうそく)だった。

 当時、外資系の機械工具メーカーの部長だった。商談などで米デトロイトやドイツ、中国などへ70回近く飛んだ。

 取引先の間で意見が食い違うと、得意な英語を生かして調整を買って出た。信頼されると次の仕事につながり、売り上げも増える。やりがいを感じているさなかの出来事だった。

「本当に体が戻るのか」

 心臓バイパス手術を経て入院…

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