朝起きてからどうやって会議に向かったのか。何を話したのか。その記憶だけがいまも戻らない。
愛知県瀬戸市の三浦賢さん(57)は2018年7月、名古屋駅前のビルの一室で、会議中に話していて突然倒れた。
2人の同僚が必死に人工呼吸と心臓マッサージをし、救急隊員に引き渡した。ICU(集中治療室)で目を覚ましたのは5日後。心筋梗塞(こうそく)だった。
当時、外資系の機械工具メーカーの部長だった。商談などで米デトロイトやドイツ、中国などへ70回近く飛んだ。
取引先の間で意見が食い違うと、得意な英語を生かして調整を買って出た。信頼されると次の仕事につながり、売り上げも増える。やりがいを感じているさなかの出来事だった。
「本当に体が戻るのか」
心臓バイパス手術を経て入院…