静岡県が16日に発表した土地取引の目安となる基準地価(7月1日時点)で、全用途平均が17年ぶりに上昇に転じた。観光客でにぎわう熱海市や静岡市、浜松市の中心部などが地価を押し上げたが、人口減少や高齢化が進む地域の下落は続いており、県内での二極化が依然として進んでいる。
県内610地点の調査結果によると、全用途の平均変動率は0・1%増で、価格は8万4500円だった。リーマン・ショックの影響があった2009年以来、続いていた下落が止まった。
用途別に見ると、商業地が前年より0・4ポイント増加し0・7%増だった。観光客の増加や再開発が進む地域で上昇が目立った。上昇率の1位は熱海市田原本町の17・1%、2位は同市銀座町の16.8%で、コロナ禍後の観光需要の回復が地価を押し上げた。
住宅地は全体では0・1%下落したものの、下落率は縮小した。静岡市葵区城東町(4・5%)や同区安東3丁目(4・4%)など、静岡市内の利便性が良い地域が上昇率の上位を占めた。
工業地は0・8%増で上昇は4年連続。高速道路のインターチェンジに近い地域などで、ネット通販の拡大を背景とした物流施設の用地需要が根強い。ただ、米トランプ政権による関税引き上げにより、製造業を中心に設備投資を控えて様子見する動きも出ており、多くの地点で価格は横ばいだった。
県内の最高価格地点は、住宅…