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相川金銀山の象徴となっている「道遊の割戸」=2024年5月19日、新潟県佐渡市、田島知樹撮影

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)について、事前審査するユネスコの諮問機関は、遺産に関する補足説明を求める「情報照会」を勧告した。文化庁が6日、発表した。登録の内定とはならなかったが、7月21日からインド・ニューデリーで開かれる世界遺産委員会で審査され、一転登録となる可能性もある。

 パリのユネスコ世界遺産センターが諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」の勧告内容を日本政府に伝えた。

 情報照会は4段階の評価のうち上から2番目。遺跡の保護などに関する追加情報の提出を求める。翌年以降の委員会で審議する、とされているが、基本的に世界遺産としての価値は認めており、勧告があった年の委員会で登録されることも多い。

 佐渡島の金山は、相川鶴子(つるし)金銀山(相川金銀山と鶴子銀山で構成)と西三川(にしみかわ)砂金山からなる。世界の鉱山で機械化が進む16~19世紀に手工業による純度の高い金の生産システムを発展させ、17世紀には世界最大級の金生産地となった。伝統的な手工業による金生産システムの最高到達点だとして、日本政府はユネスコに推薦していた。

 相川金銀山は日本最大の金銀山で坑道は総延長400キロとされる。坑道や排水路だけでなく、一帯には鉱山集落や奉行所跡といった生産体制を示す遺構も良好な状態で残っている。幕府直轄地だったため、作業の様子や技術を伝える史料も豊富だ。

 文化庁によると、イコモスは明治以降の史跡が多い地区の除外などを求めたという。また、追加的な勧告として、説明や展示にあたっては明治以降を含めた全体の歴史を扱う配慮を求めた。

 今回の勧告までは紆余(うよ)曲折があった。2010年に国内推薦候補の「暫定リスト」入り。21年末に文化審議会が推薦候補に選んだが、佐渡の鉱山では戦時中に朝鮮半島出身者が働いており、韓国政府は「強制労働被害の現場だ」と撤回を求めた。日本政府は推薦を見送る方向で調整したものの、自民党内で反発の声があがり、一転、22年2月に推薦した。

 だが、今度はユネスコから推薦書の不備を指摘され、23年1月に推薦書を再提出していた。

 日本の世界遺産の総数は現在、文化遺産20件、自然遺産5件の計25件が登録されている。(田島知樹)

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