作新学院―佐野日大 佐野日大七回、浅野雄飛(3年)がランニング本塁打を放ってホームイン=2025年5月4日、宇都宮清原球場、津布楽洋一撮影

 第78回春季栃木県高校野球大会(県高野連主催、朝日新聞宇都宮総局など後援)最終日は4日、宇都宮清原球場で決勝があり、佐野日大が作新学院に逆転勝ちし、4年ぶり7度目の栄冠に輝いた。両校は17日から茨城県で開かれる関東大会に出場する。優勝した佐野日大は17日に千葉2位の習志野と、準優勝の作新学院は、18日に神奈川1位と初戦で顔を合わせる。

 佐野日大が土壇場で底力を発揮。逆転勝ちで県大会10連勝で秋春連覇を達成した。麦倉洋一監督も「打つ方は活発にいってくれたのでほめたいと思う」と打線の踏ん張りに及第点をつけた。

 六回裏の攻撃を迎える前まで、試合の流れは負けムードだった。着々と得点を重ねる作新学院に対して好機を生かし切れず、守りのミスも出ていた。直前の六回表には、相手の主軸に3点本塁打を許してリードを5点差に広げられていた。

 しかし、この危機でも選手たちは気持ちを途切れさせなかった。井上遥翔(3年)はベンチの雰囲気を「ビッグイニングをつくらないと勝てないぞと、チームが一致団結した」と説明する。六回は主将桜井剛志(3年)の二塁打など6安打を集中して6点を奪い、一気に逆転。七回には、浅野雄飛(3年)のランニング本塁打も飛び出した。相手の守備位置を見て、外野手の「間を狙った」という技ありの一打だった。

 佐野日大は準優勝の作新学院とともに関東大会に出場する。今春の選抜大会では、優勝した横浜(神奈川)をはじめ、健大高崎(群馬)、浦和実(埼玉)とベスト4の3校を関東勢が占め、今季の関東勢のレベルの高さを示した。関東大会で、こうした各県の代表とどのような戦いを見せるのか。主将の桜井は「強いチームとやらせていただける機会。しっかり準備をして戦いたい」。麦倉監督も「もう一度気を引き締めて力を蓄え、夏の大会に向かいたい」と意欲を見せた。2010年以来となる夏の甲子園へ。関東は大きな試金石になりそうだ。

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 中盤までは作新学院のペースにみえた。

 二回、柳沼翔(3年)が安打で出ると、打線がつながり2点を先取。四回にも大村遙(2年)が相手の失策をついて好走するなどして1点を加えた。六回には土井雄一郎(3年)の3点本塁打でリードを5点まで広げた。

 ところが直後、先頭打者への四球をきっかけに、6長短打などで逆転を許した。

 「気の緩みがあった」と悔しさをにじませる選手たち。一方、小針崇宏監督は相手打線の追い上げは想定していたようだ。「三回の無死二塁の場面など、前半にもう少し得点をしておくことができていれば」。主導権を握っていた前半にこそ、実はいくつも好機を逃していたと振り返った。

 「次の1点を取ること、そして次の1点を防ぐことの大切さ。こうした1点の勝負を決勝戦でできたのはチームにとって勉強になったはずだ」

 4点を追う九回。先頭の葭葉慶治(3年)が「何が何でも塁にでなくちゃ」とヘッドスライディングし、二塁失策で出塁。代打の黒鵜陽人(3年)の適時打もあり、1点差まで迫った。敗れはしたが、最後までスタンドを沸かせた。

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 栃木県高野連は4日、今大会の優秀選手15人を発表した。優勝した佐野日大からは、投手の鈴木有(2年)ら4人が選ばれた。首位打者は井上遥翔、浅野雄飛(ともに佐野日大、3年)で、打率は6割2分5厘だった。優秀選手は次の通り。

 鈴木有、井上遥翔、浅野雄飛、福田来貴(以上佐野日大)、斎藤奨真、田口魁星、葭葉慶治(以上作新学院)、佐藤駿稀、神永航希(以上文星芸大付)、横山健、黒崎優作(以上宇都宮工)、田中悠太郎(幸福の科学学園)、福良翼(国学院栃木)、郡司祥直(矢板中央)、白土秀哉(青藍泰斗)

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