子どもたちにとって大切な体験とは何なのか。「体験格差」という言葉を疑問視する本を出版した教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「体験は競争社会の武器を身につける手段ではない」と話す。
体験格差という言葉が広まり、やりたいことがあるのにできない子がいるということに関心が集まる一方、体験を巡る競争も過熱しています。おおたさんは、格差の根本原因である競争社会の構造にこそ目を向けるべきだと指摘します。
- 受験で有利?100万円の講座も 「体験」ブームに考えた格差と競争
――本を書かれたきっかけは。
体験格差という、競争社会を前提とした言葉が広がっていることに危機感を覚えたからです。
今では体験は「やり抜く力」や「社交性」といった「非認知能力」を高める手段として語られがちです。お金のかかる体験の機会の多寡ばかりが焦点化されていることにも違和感があります。
確かに体験の教育的価値はありますが、体験格差という言説が広まることにはデメリットも大きいと考えています。
時間のある限り体験を詰め込むように…
――どんなデメリットがあるのでしょうか。
まずは子育ての家庭依存が進…