1970年に開かれた大阪万博に関連して、日本の子どもたちが描いたとみられる絵画19枚が、南フランスの小さな町で見つかった。購入したフランス人女性は「描かれた経緯を知りたい」と作者を探し続けて、開催中の大阪・関西万博の関係者にたどり着いた。希望する絵画の「里帰り」は実現するのか――。
日本から約1万キロ離れた人口8千人の町、ユゼス。地元の精神分析学者、ヴァレリー・ヴィさん(59)は2018年、いつも訪れる骨董(こっとう)品店の奥の壁に、ひっそりとかかっていた絵に目を奪われた。
白い帽子や服をまとい、料理をする女の子。タイトルは英語で「COOKING(料理)」と書かれている。
名前:NORIKO HUZISAWA(ふじさわ のりこ)
年齢:14
児童画収集が趣味のヴィさんは、一目で子どもが描いた絵だと感じた。ただ、フランスとは思えない情景で、「まったく未知の世界」に見えた。
店には他にも、同じような児童画が18枚売られていた。展望台らしき風景や、七面鳥や豚などの動物、工事現場……。共通するのは、一緒に額装された英語のタイトルとアルファベットで書かれた氏名、5~14歳の年齢。名前から、日本の子どもの絵だと推察された。
日本から9千キロ以上離れたフランスの小さな町で見つかった19枚の子どもの絵。絵に残された手がかりとは。記事後半で、19枚すべての絵と、添えられた名前や年齢も紹介しています。
「なぜフランスに?」始まった作者探し
店の古物商は「近郊の村に住…