取材に応じたアンドリー・コスチン検事総長=2024年8月30日、キーウ、藤原学思撮影

 ロシアがウクライナに全面侵攻を始めて2年半が経ちました。民間人や民間の建物が被害にあう攻撃は、連日のように行われています。では、ウクライナの司法はどう向き合っているのか。アンドリー・コスチン検事総長に聞きました。

 ――ウクライナ検察は現在、何件の戦争犯罪を捜査しているのでしょうか。

 ウクライナ領内で起きた13万6千件です。ただ、ロシアに一時的に占領されている地域での事件は含まれていません。

 数字上、多くを占めているのは、当然ながら民間人の所有物の破壊や損壊です。ただ、たとえば大きなミサイル攻撃では、アパートの数百の部屋が破壊、損壊され、民間人が殺害されます。これは捜査のある段階で、1件の事件としてまとめられることになります。

 被害者はみな、事件を報告する権利を有しています。刑事事件として立件されるほか、後に損害賠償や補償を求めることもできます。

 私たちにとって重要なのは、人びとが苦しむ事件に集中して対応すること。民間人の殺害や捕虜に対する処刑、性暴力があげられます。ロシアはこうした犯罪を戦争の「武器」として使っているのです。

 また、子どもたちを含む民間人の強制的な連れ去りも優先的に取り組む事件でしょう。人間の尊厳を踏みにじるような拷問も記録されています。

特定した容疑者は672人、内訳は?

 ――容疑者の特定は極めて難しそうです。

 判明した容疑者は672人で…

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