政府が今国会での成立をめざす刑事訴訟法の改正案(刑事デジタル法案)で、オンラインを通じたデータの差し押さえを可能にする「電磁的記録提供命令」が焦点として浮上している。与野党双方から懸念の声が上がり、法案の修正に向けた協議が始まった。

きっかけはコロナ、「手続き迅速化」うたう

 刑事デジタル法案は、コロナ禍をきっかけに検討された。「刑事手続きの円滑化・迅速化」や「国民の負担軽減」をうたい、令状の電子化や証人尋問の非対面化などを盛り込む。その中に、電磁的記録提供命令の創設がある。

 法案によると、検察や警察が裁判官に令状を請求し、許可を受け執行する。期限なしで命令について漏らさないよう命じること(秘密保持命令)も可能だ。罰則もあり、正当な理由なく提出や秘密保持の命令に反すれば、1年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金と定める。

 現行の刑訴法にも「記録命令付き差し押さえ」という類似の定めがあり、IT事業者などに命じ、捜査に必要なデータをUSBなどに記録させ、差し押さえることができる。ただし罰則はなく、秘密保持命令もできない。また、差し押さえ対象はあくまで記録媒体というモノだ。改正されれば、捜査当局の強制力が増し、データそのものを差し押さえられるようになる。

自民からも「慎重な取り扱い」求める声

 「(記録媒体を介すという)…

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