法務省は、地域住民がボランティアで担っている保護司とともに罪を犯した人の社会復帰を支える専門職員、保護観察官の増員に乗り出す。大津市で保護司の男性が殺害された事件を受け、観察対象者に保護観察所の観察官が直接関わる態勢を強化する。

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 134人の増員を求めるほか、保護司の安全確保に関わる費用として、来年度当初予算の概算要求に、前年度の当初予算比約8億円増の約23億円を盛り込んだ。増員要求の規模は、前年度の概算要求と比べて55人多い。

 保護観察官は、刑務所を出所した人たちの更生を支える責任者で、医学や心理学などの専門性を備えた職員。保護司が全国で約4万7千人いるのに対し、各地の保護観察所にいる観察官は約千人。観察対象者が立ち直りに向けた順守事項を守っているかを確認したり、悩みを聞いたりする定期的な面接の多くは保護司が担い、観察官は面接結果の報告を受けるといった運用が一般的だ。

 しかし、大津市の事件を受け、観察官が対象者に直接関わる態勢を強化する。保護司の安全確保策としてはほかに、1人の対象者を複数の保護司で担当する制度の積極活用や、保護司の自宅以外の面接する場所の確保を進める方針も打ち出している。(久保田一道)

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