青空に薄紅色が映える。宮城県登米市迫町新田の国立ハンセン病療養所「東北新生園」で、桜が満開になった。丘陵地の敷地にちょうど千本。ふるさとに帰れず、園で亡くなった療養者らをしのぶ「鎮魂の桜」――。
「青い空に桜の花はいいね。桜を見ると、園に来てよかったのかな、と」。千本桜の植樹に取り組んだ入園者自治会「楓(かえで)会」の会長、久保瑛二さん(91)は話した。
今を盛りと咲き誇る樹齢80年ほどの古木は、先輩たちが植えたもの。だが、中には枯れる桜もある。そこで、新たな桜の植樹を始めたのが2010年。園で亡くなった人をしのび、一本一本数えた古木と合わせて千本を目標に植えてきた。
千本目は「神代曙」
千本目となった記念の「神代曙(ジンダイアケボノ)」を植樹したのは22年11月。まだ高さ約3メートルの若木だが、この春、濃いピンク色の鮮やかな花を咲かせた。
ハンセン病療養者がたどった…