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健大高崎―花巻東 八回裏から登板した健大高崎3番手の石垣=白井伸洋撮影
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 (26日、第97回選抜高校野球大会準々決勝 健大高崎9―1花巻東)

 観客の視線はミットを貫くような豪速球と、スコアボードを往復した。

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 8点リードの八回、健大高崎の右腕・石垣元気が3番手としてマウンドに上がった。先頭打者への初球で153キロを記録し、「指にボールがかかっている」。変化球で二ゴロに打ち取る。甲子園全体がどよめいたのは、次の打者への初球だった。相手打者はファウルにするので精いっぱい。

 「155km/h」

 春夏の甲子園大会で史上最速タイの球速だった。

 石垣の視界にもスコアボードの数字が入ったが、「気にせず自分のピッチングを」。4球連続で155キロを記録するなど、力でねじふせていく。九回の最後の打者は再び高めへの155キロで空振り三振に仕留め、2回無失点1安打3奪三振だった。

 「出る感じがしていた。うれしい」

 秋の関東大会で158キロを計測し、日米のプロのスカウトから熱視線を浴びるきっかけになった。「たぶん、そんな出ていないです」と否定してきたが、この日は納得の直球だったようだ。

 大会前に左脇腹を痛め、3日前の2回戦で復帰登板をしたばかり。エースのエンジン全開ぶりに捕手の小堀弘晴は、「しっかり楽しんで投げよう、のびのび投げろ、と言った。ストレートで空振りが取れていたのでよかった」。

 大会連覇まで、あと2戦。石垣は「次は155キロを超えられれば良いかなと思います。もっと最高のコンディションで挑みたい」。

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