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 夢はでっかく、大リーガー。東海大相模(神奈川)のエース藤田琉生は、潜在能力を秘める最速149キロの大型左腕だ。

 いつも背の順は一番後ろ。198センチの長身はバレー選手だった両親ゆずりだ。右足を上げて制止してから、勢いをつける2段モーション。緩急で打ち取るのが得意だ。

 中学硬式の湘南ボーイズで日本一を達成。チームの先輩だった第97回大会(2015年)の優勝投手、小笠原慎之介(中日)に憧れて背中を追った。

 高校入学後は、もがく日々が長かった。

 2年生の夏前に左ひじを疲労骨折。自らへの期待に反して、投げることすらできなかった3カ月間は「悔しくて苦しかった」。それでも、「今は我慢だ」とはげます原俊介監督の言葉に支えられ、力をたくわえた。

 初めてエースナンバーを背負い、花開いたのは今春。一冬を越えて体重を7キロ増やし、130キロ台だった速球は安定して140キロ台中盤を記録するようになった。

 加えて精神面も成長。思い通りにいかないとふてくされたような態度を出すことがあった昨秋は、県大会準決勝の横浜戦で制球を乱し途中降板。逆転サヨナラ負けを喫した。「原先生からずっと『顔』と言われてきた。顔に出さずに粘って投げられるようになった」

 今夏の神奈川大会はリリーフ、先発とフル稼働し、20回と3分の1を5失点。走者を出しても、最少失点でしのぐ投球が光った。

 心身ともに整い、満を持しての甲子園デビュー。「特別な場所ですけど、いつも通りの力を出していけば勝ち進める」。頂点に立つイメージは、できている。(大宮慎次朗)

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